「英作文の添削」は、英語講師の大事な仕事の一つですが、これに関して、私には2つのポリシーがあります。
1、間違い探しをしない
2、その人の言葉を尊重する
私がライティングのミスを指摘するときは、以下のような場合です。
・文法や語順の明らかな誤りがあり、全く違う意味、もしくは全く意味がとれないとき
・テストや検定対策のライティング指導をしているとき(1点の失点が命取りになるとき)
その場合も、赤線を引っ張って✖とはしません。
意味が伝わりにくい箇所がある場合は、こういうことが言いたいのかな?そうしたら、このように書くと伝わるよ、と例を示します。
◎見るべきは、中身!
生徒たちが、せっかく自分の意見や、心の内を吐露してくれているのに、英語のあら探しばかりしていては、その人の気もちはどうなるでしょう?
添削は、生徒たちに自信を付けさせるためにするものですから、「どのように」書かれているかよりも、「何が」書かれているかに注目するべきです。
まず第一は、楽しく書けるようになること。文法訂正は、然るべきときに行います。
以前、MPIフォニックスの松香先生も、こう訴えていました。
「間違いを直さないでください。ここは、グッとこらえて見守って。そうすれば、子どもたちは勝手に学んでいきます!」
◎上達のカギは、真似!
俳優やダンサーは、「真似がすべてだ。まずは、先生や先輩の動きをよく見て真似なさい」と、教わるそうです。
英語の上達についても、同じことが言えます。私が今使える表現や言い回しは、すべてどこかから拾い集めてきたものです。実際に誰かが言っていたのを聞いたり、本や映画などから抜き出して、使っていくうちに自分のものになりました。
ですから、ライティング指導をする際にも、「よければ真似してね」という姿勢で、生徒たちに表現の一例を見せるようにしています。それを繰り返していくうちに、だんだんと正しい英語で自分の言いたいことを表現できるようになります。
人によっては、このような添削方法では物足りないと感じるかもしれません。たくさん直されれば直されるほど勉強になる、という方もいますし、それができる先生こそ良い先生だと考えている方も多いです。
しかし今の時代、〇か×の添削ならば、AIでも十分可能なのです。むしろその方が、時短で手軽です。
正しい英文に直す+α の何か。ここに、ロボットではなく人間が添削する意味が存在します。
キーは、「感情移入」と「共感」です。
人間の行う添削は、知識と経験に裏付けされ、書き手の言いたいことを正確に理解した上でより良い表現へ導くことができます。
手紙文や作文など読み手・聞き手がある書き物であれば、より相手を気遣った表現や言葉遣いを目ざします。