お子さんを幼少期から英語にたくさん触れさせよう!英会話教室に通わせて、早く英語が話せるようにしたい!と、願っていらっしゃいますか?もしそうでしたら、ぜひこのブログを最後までお読みください。
なぜ母語が大切なの?
英語をはじめとする第二言語を学ぶとき、私たちの母語である日本語力がとても大切な役割を果たします。なぜなら、すべての言語学習の土台は、母語力にあるからです。また、第二言語が第一言語(母語)を超えて発達することは、基本的にはありません。母語で培った「思考力」や「認知力」が、他言語の習得に大きな影響を与えます。
この関係性を理解するために、ジム・カミンズ博士が提唱する「言語相互依存の氷山説」をみてみましょう。
氷山のたとえ:言語の表層と深層
ジム・カミンズ博士は、母語と第2言語を「氷山」に例えています。私たちの目に見えるのは、水面より上に出た氷です。これは「表面的な言語能力(発音、文法、語彙など)」を指していて、氷山全体のほんの一部分です。
水面下には氷山の本体である巨大な塊が隠れており、これは「認知能力(思考力や判断力)」を表しています。発音や文法など、日本語と英語の水面上の部分はまったく異なりますが、水面下の認知力や思考力は共通しています。つまり、日本語と英語は、同じ「基礎の思考・認知力」を土台として発達するということです。
この「基礎の思考・認知力」は、母語である日本語を通じて育ちます。そして、この基礎の上に別の言語を積み重ねることができます。逆に、母語が不十分なまま英語を学んでも、「発音がきれい」「単語がたくさん言える」という上辺だけの知識やスキルにとどまり、深い思考力を伴うコミュニケーションにはつながりにくいのです。
英語と日本語、育てるべきは思考力!
たとえば、帰国子女に多いケースで、英語はペラペラでも認知的な発達が追い付いていない子どもたちがいます。インターナショナルスクールに通う子どもたちにも、ときどき同じケースが見られます。ジム・カミンズ博士の理論からもわかるように、先に大量の言葉だけを詰めこんでも、後から思考力が自然に育つわけではありません。
母語力がしっかりと育っている子どもたちは、たとえ英語に触れる時期が遅くても、しっかりと積み上げていくことができます。論理的な思考ができるようになり、対話力や交渉力といったスキルが伸びやすくなるからです。このように、母語である日本語力がどれだけしっかりしているかは、英語学習の成功を左右します。
言語を使うプロセスは、①思考する→②判断する→③表現する、という流れで進みます。このうち①と②のプロセスは、日本語でも英語でも同じです。最後の③で「日本語で表現するか、英語で表現するか」が変わるだけなのです。だからこそ、まずは日本語でしっかりとした思考力を育てることが大切です。
幼少期の思考力はどう育てる?
「小さいうちから英語をたくさん教えなければ!」と焦るより、まずは日本語にたくさん触れる環境を整えることが大切です。
本に囲まれた環境を作る
幼少期の思考力を育てるには、「本に囲まれた環境」を作ることです。家の中にさまざまな本を置き、子どもの目線に合わせた本棚を設置すると、自然と本への興味が湧きます。本の表紙を見せて並べると、さらに手にとりやすくなりますね。
親が本を読んであげることで、子どもは言葉や表現に親しみを感じ、物語の世界にワクワクしながら言葉を学んでいきます。読み聞かせは、子どもの想像力を育て、物語を通じて考える力や共感力を伸ばすのにとても効果的です。読み聞かせの後には、「どうして主人公はこう思ったのかな?じゃあ、もし〇〇だったらどうなると思う?」など、親子の対話を楽しんでください。思考力や表現力が養われる大切な時間になることでしょう。
人間はことばで考えコミュニケーションをする。だから、ことばが豊かでないと、まず考えることができない。絵本を通して子どもたちは、言葉を知り、豊かな表現力を養い、自分の世界を広げていきます。そして、これらの積み重ねが、英語学習の土台となるのです。日本語の豊かな表現や語彙に親しむことは、将来の外国語学習にもつながる大切なステップです。ですから、お子さんが小さいうちに徹底的に日本語をマスターさせ、まずは日本人としてのしっかりした思考力を育てておいてください。日本語の思考力や語彙力がないまま英語が話せても、世界では通用しないし、役立つ人材にはなれません。
私の英語塾でも、母語力を土台とした英語力の向上を基本としています。幼少期から英語に触れる場合は、日本語に触れる時間をより多く確保してほしいと思います。
では、英語はどう始めるべき?
幼少期に英語などの外国語を学ばせたい場合、「意味を教えること」よりも、「音に慣れさせること」を優先しましょう。特に英語は日本語とは異なる音域を含むため、まずは耳を育てることが大切です!
・広い音域を聞き取る力を育てるには?
森林浴をしながら、鳥のさえずりや虫の鳴き声、風の音に耳を傾けることで、音域の広い耳を育てることができます。バイオリンやピアノ、フルートなど、音の幅が広い楽器を直接体感することも、音感を育てる助けになります。英語だけでなく、フランス語やスペイン語など、多様な言語の歌を聴かせてリズムやイントネーションの違いを親子で親しむのもいいですね。英語のリスニング力が、後にぐんと伸びやすくなります。
多言語を自由に扱える人は大抵「耳が良い」ということをご存じでしょうか?マルチリンガルは、相手の話す音を細かく聞き取ることが得意です。聞こえてさえいれば、あとは単語の意味さえわかればコミュニケーションはできます。また、耳が良い人は、音のニュアンスや感情を機敏に察知し、相手の意図を感じ取るのも得意です。このような「良い耳」は、幼少期にさまざまな自然の音に触れる経験から育まれ、多言語習得の大きな助けとなります。
まとめ:母語を土台に、ムリなく英語力UPしよう
子どもたちに英語を身につけさせるためには、まずしっかりとした日本語力を育てることが大切です。日本語での思考力や表現力がしっかりと育っている子どもは、英語などの外国語も自然に伸ばしていくことができます。日々の読書や親子の対話を通じて、豊かな言葉の世界を広げることで、英語学習の土台を築きましょう。
焦らず、ムリをせず、まずは楽しく日本語に触れる時間を大切にすることから始めてください。それが、将来の多言語習得への一歩となり、子どもたちの世界を広げるKEY🔑となります。
お読みいただき、ありがとうございました。🐻